社会性を育てる「ほめ育て」の効果 【浦谷博士のEQ力コラム vol.19】

みなさん、こんにちは。
EQ力を育てるEQWELチャイルドアカデミーの浦谷です。
新型コロナウィルスの影響により、世界情勢が大きく揺らぎ、
日本でも緊急事態宣言が発令されるなど、
誰の目から見ても明らかな世界的な大変革期が訪れています。
緊急事態宣言が発令された都府県では、休校が続いている家庭も多いと思いますが、
このような時期にこそ冷静に危機を乗り越え、
来たるべき「コロナ後の世界」に必要なスキルと人間性を育んでおきたいものです。
そのために効果的な方法の一つが「ほめ育て」です。
幼少期にほめられて育った子どもは発達がよくなり、社会性が高くなるという報告があります。
今回は、「社会性を育てる「ほめ育て」の効果」と題して、その効果についてお伝えいたします。
乳幼児期に子どもをほめると、発達が促進されるという研究報告があります。
筑波大学の安梅 勅江(あんめ ときえ)教授が率いた、子どもの発達についての研究では、
0歳児400名とその母親を4年間、追跡調査しました。
その結果、親から継続的にほめられている子どもたちは
1歳半、2歳半、3歳半時点での調査で、
社会能力の発達が良い「安定群」に属していて、
ほめられていなかった場合には、
発達が緩やかな「ゆっくり群」に属していることがわかったのです。
この結果は、親との関係が良好で、ほめられ続けている子どもは、
早い段階で、心のコントロールができるようになることを示しています。
ちなみに、ここでいう社会能力とは、
「主体性」「応答性」「共感性」「運動制御」「感情制御」を指しています。
また、興味深いことに、4~9か月の赤ちゃん期に、
実際の行動ではなくても「ほめることが大切だ」と母親が考え続けていた場合、
3歳半のときの子供の社会能力の発達によい影響があったとのことです。
これは、まずは「ほめることが大切だ」と知っていること、
そして、そう思い続けるだけでも、
子どもの社会能力の発達がよくなることを示しています。
ほめられる経験は「言語的報酬」と呼ばれていて、
小学生を対象とした国内の研究では、
親からポジティブなほめ言葉を多く受け取り、
ネガティブな言葉を受ける経験が少なかった子どもたちは、
自尊心が高いこともわかっています。
ほめられて自尊心が育った子供たちは次のようなメリットが得られることも、
すでにたくさんの研究で明らかにされています。
1. 幸福感
2. ストレスや逆境においての緩衝力
3. 抑うつ症状の防止
夢中力を育む「ほめ育て」ですが、
子どもの心も能力もよりよく成長させることは
科学的に確からしいことだといえるのです。
新型コロナウィルスの影響で、当面の間、講演会等は開催しませんが、
また状況が変わりましたら再開したいと思っています。
その時にはまた予定を掲載したいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
大変な社会情勢ではございますが、皆様が安全・安心のもと健康でありますよう、
また、一日も早くこの状況が収まりますよう祈念しております。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(浦谷裕樹)