子どもが将来成功する「頭と心のスキル」の伸ばし方 2

EQWEL(イクウェル)チャイルドアカデミーの浦谷です。

3月11日に大阪で開催された兵庫教育大学の松村京子教授の講演会。

「~科学からひも解く子育て~ 子どもとのかかわり方」

と題したEQWELチャイルドアカデミー主催の講演会で、約100名が参加。

 一生役に立つ「頭と心の土台」を育てるのに欠かせない
脳の「実行機能」の伸ばし方
について、松村先生がお話くださいました。

 
 

「実行機能」の伸ばし方

自制心や協調性など、学習や対人関係に欠かせない脳の基盤である「実行機能」。

「実行機能」とは何かについては前回紹介しましたが、
今回はその伸ばし方について紹介します。

松村先生は家庭でも簡単に取り組める方法として、
以下の3つを挙げられました。


 
「実行機能」の伸ばし方

1.ストップ

2.善意の解釈

3.姿勢


この3つの方法の詳細を見ていきましょう。

 
 

1.ストップ

「ストップ」とは、言葉通り「止めること」です。

保護者や先生が「ストップ!」と言ったときに行動を止める、
というトレーニングをします。

次の行動に切り替えるためには、
まず今している行動を止める(抑制する)必要があります。

「ストップ」はその練習です。

子どもは動作が加わると取り組みやすいので、
ストップするときには両手を胸の前にクロスさせて、
今している行動を止めてもらいます。

身近な例としては、「イス取りゲーム」や「だるまさんがころんだ」も、
このストップと同じような目的を持った遊びです。

「止まれたかな~?」と、ゲーム感覚で取り組むと子どもは乗ってくれます。

この「ストップ」に「深呼吸」を加えるとさらに効果的です。
ハイテンションで止まらないときにも、落ち着けるのでよいとのことです。

子どもが小さいうちは動作をつけて行いますが、
大きくなったら頭(心)の中だけで「ストップ」と思い、行動を止めます。

これは行動のみならず、思考や感情を止めるのにも使えるとのことでした。

 
 

2.善意の解釈

「善意の解釈」は、相手の行動を善い方向に解釈するトレーニングです。

相手の行動を善意に解釈すると、自分の相手に対する対応が変わります。
それによって対人関係がよくなります。

具体的には子どもの言動に対して、「えっ!なんで!」と思ったり、イラッとしたりしたときに、

「たまたまよ」

「きっと理由があったのよ」

と思うようにします。

善意の解釈をするようにすると、暴力が減り、他者の苦しみを理解でき、
相手を苦しませる言動が減るとのことです。

まずは保護者から始めるとよいでしょう。
自らが実践して、できるようになったら、子どもに教えたときによく伝わるものです。

 
 

3.姿勢

最近の子どもたちは小学校に入ったときに、
45分間ずっと座っていられない子が多くなっています。

この原因の一つは「姿勢」にあります。
ずっと座っている姿勢を保てないそうです。

まずは疲れにくい姿勢を教える必要があります。
疲れづらい姿勢は、イスに座って、両手を伸ばして背伸びをします。

その後、手を自然に下げたときの姿勢が疲れにくい姿勢です。

仙骨が座面に対して垂直に立っている姿勢で、
ヨガのあぐらの姿勢などはこの姿勢だとのこと。

まずはこのよい姿勢を教えます。

ただし、この姿勢も続けられない子どもが多く、
調べてみると姿勢を保てる子どもに比べて「背筋が弱かった」とのこと。

背筋を鍛えるためにはお手伝いとして、
子どもにとって少し重い荷物を両手で前に持って歩いてもらったり、
床をぞうきんがけしてもらうのもいいそうです。
(最近の家庭ではぞうきんがけは少ないかもしれませんので、ひざをつかない熊歩きやブリッジなどもいいでしょう)

よい姿勢を保とうとしても、しばらくすると前かがみになり、
背中を曲げてしまう子にはバスタオルを使う方法もあります。

腰にバスタオルを当てて、両手で両端を前に引っ張ることでよい姿勢を保ちやすくなります。
身体がよい姿勢を覚えるまで補助としてつかうといいでしょう。

 
 

その他の方法

他にも絵本や図鑑を読んでいるときに、
子どもの言葉を繰り返すことで実行機能を高める方法があるとのこと。

例えば、子どもが絵を見ながら「これなぁに?」と聞いたときに、
保護者が「シャベルカーよ」と答えたとします。
そのときに、子どもが「シャベルカー?」と聞き返したら、
保護者は「そうよ、シャベルカーね」ともう1回言葉を繰り返して答えます。

こういった言葉の繰り返しにより、
実行機能の要素の一つであるワーキングメモリ(脳のメモ帳)が鍛えられます。

子どものワーキングメモリに言葉が残る時間が長くなるからです。
また、子どもの語彙も強化されますので、一石二鳥です。

 


 
 
このような簡単な取り組みでも続けていくと、子どもの脳の実行機能は鍛えられていきます。
学習や対人関係をスムーズにできるようになり、将来の活躍に結びついていきます。

一生役に立つ頭と心の土台づくりに欠かせない脳の「実行機能」の伸ばし方。

日々の育児に少しでも取り入れて、子どもたちの未来を輝かせたいものです。(浦谷 裕樹)
 
 


 
 
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