子どもが将来成功する「頭と心のスキル」の伸ばし方 1
EQWELチャイルドアカデミーの浦谷です。
3月11日に大阪で開催された
兵庫教育大学の松村京子教授の講演会に参加しました。
EQWELチャイルドアカデミー主催の
「~科学からひも解く子育て~ 子どもとのかかわり方」
と題した講演会で、会場は約100名の参加者でいっぱいに。
はじめに、私が「これからの時代に求められる教育」について少し話した後、
松村先生がご登壇。
頭と心の成長に欠かせない脳の「実行機能」の伸ばし方について、
柔らかく落ち着いた口調で、わかりやすく伝えてくださいました。
子どもの将来がわかる!? 「マシュマロ・テスト」
最初に松村先生が見せてくださったのは「マシュマロ・テスト」の動画です。
「マシュマロ・テスト」は1970年代、スタンフォード大学にて
4~5歳の幼児を対象に行われた実験で、
マシュマロを1個見ながら、もう1個多くもらうために、
15分我慢できるかどうかを調べたものです。
【参考】 マシュマロ・テストの動画
この実験で我慢できた子どもたちは、できなかった子どもたちに比べて、
大学入学時の学力が高く、心も強く、思考・創造の脳活動が盛んでした。
社会性も高く、ストレス・プレッシャーにも強かったのです。
この実験で調べたのは自分で自分をコントロールする力、すなわち「自制心」です。
この「自制心」は、脳の前頭前野にある「実行機能」が関与しているとのこと。
未来の成功を左右する「実行機能」とは?
「実行機能」とは何なのでしょうか?
それは以下の3つの要素から成り立っています。
1.抑制機能
2.注意の切り替え
3.ワーキングメモリ (情報の更新)
です。
人間は一度に一つのことしかできません。
色々な活動をするには必ず、今している活動を止めて(抑制)、
新しい活動に注意を切り替えて、その活動に取り組み、情報の更新をしていきます。
だから、実行機能が発達していると、次々とたくさんの活動ができます。
しかし、幼児はなかなかしていることを止めたり、切り替えたりはできないもの。
遊びに夢中になっている子どもを帰らせたり、お風呂に入れたりするには、
まず遊びをやめてもらうだけでも一苦労です。
(※ ワーキングメモリ(作業記憶)は「脳の黒板」とも呼ばれ、電話番号など、
一度使ったらすぐに忘れてもいいような、作業をするのに必要な超短期記憶のことです)
通常、この実行機能は3~5歳のときに急激に発達して切り替えが効くようになりますが、
もし発達が遅れると、小学校の授業についていけなくなります。
授業中も自分のしたいことばかりして、先生に注目せず、話が聞けないからです。
だから、学校に入って授業を効果的に受けるためにも、
幼児期にしっかりと「実行機能」を発達させる必要があります。
また、「実行機能」が発達すると、行動面だけでなく、
思考や感情も自分でコントロールできるようになるので、
対人関係や社会性も高くなります。
学力にも社会性にも影響を与えるという脳の「実行機能」。
松村先生はこのことを称して、「実行機能はオールマイティー」と言われていました。
「実行機能」の伸ばし方
では、どのようにしたら「実行機能」を伸ばすことができるのでしょうか?
松村先生は家庭でも簡単に取り組める方法として3つの方法を挙げられました。
それは、
1.ストップ
2.善意の解釈
3.姿勢
です。
それぞれの具体的な方法については次回紹介いたします。(浦谷 裕樹)